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【巻頭特集】心とカラダで知的トリップ

五感で楽しむアートスポット

ふと見回してみると、私たちの周りにはいたるところにアート作品があることに気づきます。日常にちょっとした変化を与えてくれるそうした作品との出会いも素敵だけれど、異次元へと迷い込んでしまったような、非日常的な場所、環境のなかでのアート作品との出会いは、より大きな感動を与えてくれるもの。これからの季節に訪れたい、そんな、環境ごと、空間ごと楽しめるアートスポットを今号では大特集しています。

アートと自然をともに楽しむ

ハラ ミュージアム
アーク&伊香保グリーン牧場

羊の群れの向こうに見えるのは、建築家・磯崎新氏の手掛けた黒いモダンな建築物とオラファー・エリアソンの作品。伊香保グリーン牧場隣りに1988年に開館した「ハラ ミュージアム アーク」は、“牧場とアート”という、一見ミスマッチなふたつが楽しめる日本で唯一の場所です。見渡す限り広がる緑と、季節ごとに咲き誇る花々、広い敷地でゆったりと暮らす動物たち。そんな風景を楽しんだ後には、アンディ・ウォーホルの「キャンベルズ トマト スープ」やジャン=ミシェル・オトニエル「Kokoro」に出迎えられながら、美術館へと向かいましょう。
東京・品川にある原美術館の別館として誕生したアークは、本館同様、国内外の現代アートを広く紹介。とはいえ、自然の風景に溶け込み、あるいは歪ませ存在する作品を見られるのは、都市を離れたこの場所だからこそ。同美術館のために制作されたエリアソンの「Sunspace forShibukawa」や、今年3月に完成したばかりのイ・ブルの新作「すべての落日の断片的解剖」など、その場所、環境込みで体験できる作品に触れる貴重な機会となっています。

本誌ではほかにも……
横須賀美術館/IZU PHOTO MUSEUM /サントリー美術館/静嘉堂文庫美術館/箱根ラリック美術館/東京大学大学院理学系研究科附属植物園 & 東京大学総合研究博物館小石川分館を紹介しています。

ハラ ミュージアム

ハラ ミュージアム アーク
群馬県渋川市金井2855-1
TEL:0279-24-6585
9:30~ 16:30(入館は16:00 まで) 休館日:展示替え期間(会期中は無休)
http://www.haramuseum.or.jp

■「原美術館コレクション展―美術な物語」開催中~8/31(火)現代美術ギャラリーA・B・C
■「風の景・水の景」前期:7/3(土)~ 8/1(日) 後期:8/3(火)~ 31(火)特別展示室「觀海庵」

伊香保グリーン牧場
TEL:0120-81-5335(フリーダイヤル)
9:00~17:00(入場受付は閉場の1時間前まで)
http://www.greenbokujo.co.jp
※ハラ ミュージアム アークと伊香保グリーン牧場は、入館料と入場料がそれぞれかかります。お得なセット券もあり。

国立国会図書館 国際子ども図書館

本誌ではほかにも……
東京都庭園美術館/葉祥明美術館 北鎌倉/ルーサイトギャラリー/聖徳記念絵画館を紹介しています。

ノスタルジックな時に浸る

国立国会図書館 国際子ども図書館

1906年に帝国図書館として建てられ、1929年に増築された重厚なルネサンス様式建築、「国立国会図書館 国際子ども図書館」。東京都の歴史的建造物にも指定され、懐古的な側面に目が行きがちですが、平成に入っても大規模な改修が行われ、全面開館したのは2002年のこと。レトロなムードのなかにもどことなくモダンなエッセンスが散りばめられ、名称の“子ども”だけのものにしておくにはもったいない、とても素敵な空間です。
特に象徴的なのが、建設当初からのレンガや石材と、館を貫くように交差したガラスボックスの組み合わせ。このアイデアは建築家・安藤忠雄氏によるもので、その優れた斬新さで数々の建築賞を受賞しています。
また、その蔵書もあなどれません。なかでも、言葉を使わずイラストだけで作られた絵本の数々は、アートとしても優れもの。美しかったり、ユニークだったり、郷愁をそそられたり-- 。世界中から集まったさまざまな作品は手に取るのが楽しく、ページをめくるたびに大人もわくわくすること請け合いです。
今度の休日は、上野の洋館でかわいい絵本に和んでみてはいかがでしょう。

東京都台東区上野公園12-49
TEL:03-3827-2053
開館:9:30~17:00 休館日:月、第3 水曜、祝日(こどもの日は開館)
http://www.kodomo.go.jp

■『日本発☆子どもの本、海を渡る』開催中~9/5(日)

現代アート&デザインに出会う

東京都現代美術館

現代美術の振興と基盤の充実を目的に、1995年に設立された「東京都現代美術館」。地上地下5階建て、のべ床面積3万㎡以上、高い天井の巨大空間では絵画や彫刻だけでなく、映像や音楽、ファッションなど、ジャンルレスな現代アートの“今”が体感できます。この日本最大級の美術館では、大竹伸朗など今をときめくアーティストのビビッドな展示や、人気アニメのキャッチーな企画展はもちろん、常設展も見逃せません。多角的な切り口のディレクションにより約4000点の収蔵作品が頻繁に入れ替えられているので、常設展目的に出かけても十分に楽しめます。
また、入場券がなくても楽しめるパブリックスペースも充実しており、若手作家の支援を目的とした展示が行われるエントランスや中庭、美術関連の書籍が閲覧できる図書室と、すべての人に開かれた公的施設ならではの役割も果たしています。昨年3月末には大掛かりな改装がなされ、授乳室やカフェなどの施設が新たに加わり、より身近な存在になりました。
東京都に美術館は数あれど、老若男女みんなで楽しめる懐の広さはナンバーワン。隣の木場公園と合わせて、ピクニック気分で訪れたい場所です。

東京都江東区三好4-1-1
TEL:03-5245-4111
開館:10:00~18:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜、展示替え期間ほか
http://www.mot-art-museum.jp

■『借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展』7/17(土)~ 10/3(日)
■『こどものにわ』7/24(土)〜 10/3(日)

東京都現代美術館

本誌ではほかにも……
21_21 DESIGN SIGHT /原美術館/ワタリウム美術館/清澄ギャラリーを紹介しています。

ハラ ミュージアム

2階 FOIL GALLERY(荒井良二『metaめた』展展示風景)

東京都千代田区東神田1-2-11
(本誌では、このビルのショップやギャラリーを紹介しています。詳細は各店舗にお問い合わせください)

本誌ではほかにも……
BankART Studio NYK / CLASKAを紹介しています。

ミュージアムなリノベーション空間

アガタ竹澤ビル

近年、クリエイターやアーティストから注目され続けているイースト東京エリア。新しいムーブメントが生まれる数々のスポットに共通して言えるのは、既存の古い建物を活用していること。繊維問屋や倉庫などが密集するこのエリアは賃料も安く、現代建築にはない建物の構造がクリエイターたちの創造力を刺激し、人々が集まってきました。
そんな動きの発端となったのが、馬喰町にある「アガタ竹澤ビル」。一見ただの古い雑居ビルにも見えますが、ハニカム模様にワイヤーが入った窓ガラスや地下倉庫の高い天井など、雰囲気たっぷり。それを“自由に改装してOK”というオーナーの懐の広さもあり、内装にもこだわりが見られる個性的なギャラリーやショップが集結しています。テナントすべてが衣・食・住にかかわっているので、目的のギャラリーやショップ以外にも予想外のうれしい出合いがありそう。界隈の散歩とともに、古さと新しさが共存する不思議な空気を、ぜひ味わってみてください。

写真:菊池陽一郎、齋藤ジン、高橋博正